世紀の大番狂わせで下がるかと思われた住宅ローンの長期金利
《速報》
ドナルド・ジョン・トランプ氏(Donald John Trump、1946年6月14日 )が大統領選挙で民主党候補のヒラリー・クリントンを破り第45代アメリカ合衆国大統領に就任することが決定しました。
この世紀の番狂わせは、2016年アメリカ合衆国大統領選挙で2016年7月に彼が大統領共和党予備選挙で正式に大統領候補に指名されてから、僅か4か月後の出来事です。
嫌われ者同士の対決と言われた今回の大統領選では
トランプよりはマシ。
こんなふざけた理由でヒラリーを推す声が多いとマスコミが報じてましたが、蓋を開ければ大どんでん返しです。
英国のEU離脱の時を彷彿させる成り行きですね。あの時も接戦の割にはマスコミも何だかんだで離脱しないんだろうと最後まで楽観的でしたからね。
ドルが売られ円が買われ長期金利が下がる
為替と金利の動きもユーロがドルに代わった以外はEU離脱と同じ感じです。ドルが売られ、円が買われ、長期金利が下がる。
11月9日午後の債券市場で新発10年物国債利回りは前日比0.015%低い(価格は高い)マイナス0.085%に低下しました。翌日には更に下がるでしょう。
これは9月30日以来、約1カ月ぶりの低水準です。運用リスクを避けようとする投資家の資金が債券市場に流入して、国債の価格を押し上げているんです。
なにしろ、
癇癪を起こすとまるで2歳の子どものようだ。
こんな風に評される人物が核のボタンを押せる立場に立ったのですから。
👈しかしこの翌日にはV字回復しました。
国債の価格が上がると住宅ローンの固定金利が下がる仕組み
住宅ローンの固定金利は長期金利に連動します。そして長期金利は国債価格と逆方向に動きます。
- 債券の価格が上昇すると長期金利は下落する
- 債券の価格が下落すると長期金利は上昇する
こういう仕組みです。
金利とは利回りを言います。利回りとは投資した元本に対して投資の成果として得られる利益が年に何パーセントかという割合です。
- 10年国債
- 額面金額100円
- 券面利率2.0%
上記の前提で小学校の算数の知識で理解できるように、説明します。
国債を100円で買った時の利回り
券面利率は2%ですから、100円に対して毎年2円の利息を受け取ります。10年後の満期には100円の元本が返ってきます。
100円投資して毎年2円の利益ですから、運用利回りは年2%です。
国債を95円で買った時の利回り
額面100円の国債が95円に値下がりしている時に買えば、毎年2円の利息を受け取る上に満期で額面の100円が返ってきます。購入価格との差額である5円が値上り(キャピタルゲイン)として手に入ります。
95円投資して毎年2.5円の利益ですから、2.5÷95で運用利回りは2.6%です。
国債を105円で買った時の利回り
額面100円の国債が105円に値上がりしている時に買えば、毎年2円の利息を受け取れますけど、満期で返って来るのは額面の100円だけです。購入価格との差額であるマイナス5円を値下がり(キャピタルロス)として被ることになります。
105円投資して毎年1.5円の利益ですから、1.5÷105で運用利回りは1.4%です。
つまり債券の価格が上がると利回りは下がる関係にあるのです。
- 価格95円の利回りは2.6%
- 価格100円の利回りは2%
- 価格105円の利回りは1.4%
今はただでさえ国債の価格が上がりすぎて利回りがマイナスになっているんですが、さらにそれに拍車が掛かったのがトランプ大統領就任による影響という訳です。
12月のフラット35の固定金利は瞬間的に記録的な下落となる
大統領の任期は4年です。今のような不安感がトランプの就任期間中、いつまで続くかどうかは分かりません。
しかしほぼ確実なのは、来月のフラット35の全期間固定金利は長期金利の下落を反映して下がるだろうという事てすね。
少なくとも前回のEU離脱ショック並みに下落すると見て良いでしょう。当時のフラット35は前月比0.14%〜0.17%の大幅下落になりました。
- 20年以下:6月0.99%→7月0.85%
- 21年以上:6月1.1%→7月0.93%
ちょうど11月の金利と6月の金利は似通ってます。千日としては、だいたい同じ位の下落になるんじゃないかと予想してます。
だとすると、史上最低金利を更新しますね。
- 20年以下:11月0.93%→12月0.80%予測
- 21年以上:11月1.03%→12月0.90%予測
この下落は、トランプショックによる一時的な下落ですし、日銀による長期金利操作もありますので、また戻っていくでしょう。
続報
当確当時の予測とは大いに異なる最新情報です。12月のフラット35の金利は0.07から0.1ポイント上昇することとなりました。
変動しない変動金利
来月12月というと、変動金利の金利見直し月とも重なりますけど、変動金利は下がらないでしょう。変動金利は日銀が銀行に貸し付ける時の政策金利の影響を受けます。
その政策金利の今迄の推移をグラフにすると、このようになってます。
赤い矢印のところがリーマンショックの2008年9月15日で、それまでずっと0.5%だった政策金利はこれを境に0.1%になり現在までずっと0.1%なんです。
EU離脱の時もリーマンショック並の影響があるかもしれないといわれましたが下がりませんでした。
もうこれ以上は下げられないレベルにまで下がっているんです。
それに、変動金利は銀行同士が資金を融通する市中金利に連動します。業界内で暗黙の横並びです。この状況下でわざわざ自分達の利益を減らすような事はしないでしょう。
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まとめ
住宅ローンを借りる人にとっては追い風となる「事件」ですけど、だからと言って喜んではいられなですね。
裏を返せば、住宅ローン位しかメリットが無いんです。
景気の回復は遅れ、退職金や年金は目減りします。
長期金利が低いという住宅ローンのメリットは、将来の長期的な収入が減少していくという悲観的な予測を社会の多数派が持っていることの裏返しだからです。
- 2016年11月30日に金利の情報を更新しました。
以上、千日のブログでした。
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