タワマンの固定資産税と相続税は床面積で按分されている
どうも千日です。固定資産税は毎年の1月1日に固定資産の所有者に課せられる税金です。
現行の固定資産税法では、マンションなどの集合住宅では区分所有する床面積の割合で固定資産税を分けています。
つまり、低層階の部屋を持ってる人も高層階の部屋を持ってる人も平米当たりの固定資産税(相続税も)は同じなんです。
これは不公平なので、政府・与党は20階建て以上の高層マンションについて、高層階の固定資産税と相続税を引き上げ、低層階を安くしようという動きがあるというニュースです。
新しい税制の対象は2018年以降に引き渡す新築物件に限定されます。現時点のタワマンオーナーの固定資産税に変更はありません。現在の税負担を前提にタワマンの高層階を購入した住民から強い批判が出るためです。
目次
マンション固定資産税・相続税の決まり方
マンションの固定資産税及び相続税はまずその土地と建物の評価額を計算して、それをマンションの区分所有者で分ける方法によって決まります。
- 土地の価値は路線価という、その敷地が面している道路のレベルと面積で決まります。
- 建物の価値はその建物の建築費用によって決まります。
つまり、大きな道路に面している土地ほど評価額が高く、固定資産税に反映されます。
大きくて高い建物は建築費用も高額となりますから、タワーマンションのような高層ビルは価値が高く、固定資産税に反映されます。
ですから、郊外の小さなマンションは固定資産税が安く、都心のタワーマンションは固定資産税が高いんですね。
だいたい値段に比例するものと思って間違いないです。
このように計算されたマンション全体の固定資産税を区分所有者で公平に分けて課税するという建前になっているんです。
床面積で分ける「不公平」の実態
マンションの部屋を所有している人の所有権は下記のようになってます。
- マンションが建っている敷地を共有。
- 建物のうち専有部分を区分所有。
- 建物のうち共用部分を共有。
区分所有してる部分以外は「ここからここまで」といった線引きが出来ない所有権です。
ですから、まず土地と建物の合計について固定資産税を計算してそれを専有部分の面積の割合で分けているんですね。
そして、ここまで読んだ方なら、この面積按分というやり方が「不公平」ということが分かると思います。
だって敷地や建物の価値で決まる固定資産税なのに区分所有間で分ける時には部屋ごとの価値の差は全く考慮されてないんですから。
面積按分というのは、計算の便宜と少なくとも恣意性は入らないという意味での公平性なんですよね。実態としては明らかに不公平です。
つまり今まではタワマンの高層階の人は割安の固定資産税、低層階の人は割高な固定資産税を払っていたんです。
ずいぶん長い間でしたけど政府としては税金を取れてさえいれば良いんですから、よりコストのかかる事は後回しにされてたという事ですね。
価格と比例させると高層階の固定資産税は1.5倍近くになる?
総務省が検討している新しい評価額の仕組みは、高層マンションの中間の階は現行制度と同じ評価額にする一方、中間階よりも高層の階では段階的に引き上げ、低層の階では段階的に引き下げるというものです。
図中の金額や階層はあくまでイメージです。こうなるという予想ではありません。
なお、菅義偉官房長官は2016年10月24日の記者会見で「実際の取引価格を踏まえた固定資産税の按分方法を検討しており今後の税制改正で検討する」と言っており、最終的には価格とマッチさせたい考えを表明しています。
タワマンの低層階と高層階では平米当たりの価格は倍近くになる物件もあります。
資産評価システム研究センターが全国の新築高層マンションの分譲価格を調べたところ、最上階の床面積あたりの単価は最下層階より平均46%高かったそうです。
取引価格を反映させるという事であれば、今後は高層階の固定資産税は倍になり、低層階の固定資産税は半分になる可能性も「なきにしもあらず」ですね。
これについては、今後も千日のブログでリサーチしていきます。
税金が割安な部屋とは
タワーマンションについては高層階が割安だっだんですが、それも過去の話になって行くのでしょう。
ではこれをヒントにどんな部屋がお得(固定資産税及び相続税が割安)なのか?について考えてみました。
- 2017年までに完成したタワーマンションの高層階
- 上の階層の南東角部屋
詳しく説明しましょう。
2017年までに完成したタワマン高層階
散々上がると言っておきながら、タワマン高層階がお得という理由は、新しい税制の対象が2018年以降に引き渡す新築物件からだからです。
- 2017年までに完成して引渡しを受ければ、現行のままずっと割安です。
- 中古マンションは2018年以降引渡しでも現行のままずっと割安です。
冒頭でも書きましたけど、現在の税負担を前提に高層階を購入した住民から強い批判が出るため、既に建ってるタワマンの固定資産税をいじる事はしないんです。
ですから、今後2017年竣工のタワーマンションの高層階の部屋は駆け込み需要で人気が上がるでしょう。
また、2017年までに竣工した中古タワーマンションの高層階は「古いけど固定資産税の割安な高層階タワーマンション」として更に付加価値が上乗せされる事が考えられますね。
上層の南東角部屋
普通のマンションでも税金は面積割りです。これをヒントにすると、人気の高い位置や間取りの部屋はお得という事ですね。
南東角部屋は人気です。ざっと南東角部屋のメリットを書き出してみました。
- 窓が多いので通気性が良い。
- 隣接する部屋からの生活音が少ない。
- 側面が窓だけでなくベランダがついている場合もある。
- 人が通らないのでプライバシーを保つことができる。
- 角度が違うパノラマ景観が楽しめる。
これらのメリットは、当然価格に反映されます。しかし、固定資産税・相続税は面積按分ですから長く住むほどその分割安な部屋になるんです。
角部屋は窓が多いので通気性が良く、2面窓のおかげで通気が良くなります。さらに東南の方位であれば西陽が当たりませんし、風通しは良い傾向にあります。
但し一階など低階層の角部屋は窓が多い分プライバシーや防犯が犠牲となります。角部屋なら高層階ですね。
また、両サイドが部屋に挟まれている中部屋と比べると、角部屋は1つの部屋しか隣接していないので、その分聞こえてくる生活音は軽減されます。
角部屋だと、窓に対してベランダが広い場合があります。ベランダやバルコニーは共有ですけど、事実上使うのは部屋のオーナーだけですよね。
マンションやアパートの場合、中部屋の前の廊下は、隣人や宅配業者が通りますが、角部屋だと人が通りませんのでプライバシーが高まります。
角度が異なる窓があると、部屋の中から2方向の景色を見る事ができます。
ベランダがL型に部屋を囲むようになっていると全ての部屋から景観が楽しめます。高層マンションの場合は、違う方向の景観が望めるのは大きなメリットになりますよ。
これらのメリットは取引価格に反映されますけど、固定資産税が割安な分、少しずつその価格差は無くなって行くという訳です。
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まとめ〜割りを食うのは既存タワーマンションの低層階のオーナー
今回の税制改正で、既存タワーマンションの低層階は割りを食う形となるでしょう。
2018年以降に建築されるタワマンの低層階は固定資産税、相続税が安くなります。
ということは、既存の低層階は「古い上に割高な固定資産税及び相続税が課税される部屋」という事になりますよね。
しかし、既存建物については諦めるしかありません。元々不公平な按分だった事は棚上げして『割高なのは分かっていて買ったんでしょ』ということになります。
とはいえ、なかなかそこまで予想して買うというのは難しいですよね。
以上、千日のブログでした。
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