超低金利時代のマンションの売り時はいつか?に答えます
どうも千日です。2016年2月の日銀のマイナス金利政策で長期金利が下がったことで、新築マンションが売れまくっているか?というと、そうでもないらしいです。
実際には10年以上前に3~4%の金利で住宅ローンを組んだ住宅購入者が『借り換え』に走ったというのが、大きな動きでした。
三井住友銀行など主要8行の2016年2月の借り換え申込件数は約2万8千件、前年同月比の約2.5倍に増えたそうです。さらに3月には前年同期比の3.6倍になりました。
借り換えが増えたところで、A銀行にあった借金がB銀行に移るだけのことですから、消費は増えません、残念ながら景気の回復には大してプラスになりません。
一方で、比較的安価な中古住宅市場には良い影響が出そうです。
つまり、都心から近郊の人気の高い住宅地や交通利便性の高い商業地での新築・中古マンションの価格は高騰していますが、郊外エリアの中古マンションや戸建て価格はおおむね横ばい傾向です。
都心・近郊物件に手が出なかった層が住宅ローンの金利の低下によって、毎月の返済額が購入できるレベルに収まり、郊外エリアの中古マンションや戸建てを買いやすくなる傾向があるんです。
中古マンションや戸建ての売り手にとっては、購入希望者が増えることは良いコトです。
- 出産による家族の増加
- 子どもの成長により必要になる部屋数の増加
- 子供の独立によって不要になる居住面積
これらを契機として住み替えやマイホームの売却を考えるのが普通ですが、今回のマイナス金利導入は、日銀による景気刺激策そのものであって、一定の効果が認められた時点で解除される『時限措置』です。
この一過性の動きをうまく利用して戦略的に不動産の売却と購入を考えていきたいですね。
さて、この売り時を考えるうえで、重要になるのがタイトルにある五つの『5』の倍数です。
では、始めますね。
目次
- 超低金利時代のマンションの売り時はいつか?に答えます
1.オリンピック(五輪)の閉会式までは不動産相場が上昇するジンクス
2020年の夏季オリンピックは言わずと知れた東京都で開催されることが決まっています。東京オリンピックが来ることで、都心部へのアクセスが向上し、地域人口の増加につながる期待感から居住目的だけでなく、投資目的としても不動産が注目されています。
現在の都心部の新築・中古マンションの高騰はこれを反映したものです。
ウチは東京じゃないから関係ないわ
そんなことはありません。地方の不動産の相場は首都圏の相場と概ね連動するものなんです。
下グラフはレインズ | 公益財団法人不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)統計から専有面積40〜80平方メートル中古マンションの平米あたり単価(万円)の動向を首都圏と京阪神で並べたものです。
首都圏の中古マンションはオリンピック招致決定から一貫して右肩上がりですね。そして首都圏から遠く、オリンピックと関係無いはずの京阪神の中古マンションもなだらかに上昇しています。
これはあくまで首都圏、京阪神という大きな括りでの比較です。
しかし、大きな流れとしてオリンピックの招致を契機として不動産の相場が全体的に上昇している=需要と供給の関係で買い手の多い売り手市場ということです。
そしてこの傾向はオリンピックが終わるまで続くというのが最近の五輪開催国で見られた相場の動きだったんです。
2.5年間居住の用に供することで受けられる税金のメリット
住宅を売却すると、確定申告する必要があります。
なぜなら、売却よって儲けや損が出て、所得が変わるからです。住宅の売却損益(正式には譲渡所得といいます)は以下の計算式で計算します。
譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
- 譲渡価額はその住宅の売値です。、
- 取得費は購入代金+改良費等-減価償却費で計算します。
- 購入代金は土地、建物の購入代金、購入手数料、登記費用、不動産取得税などです。
- 改良費等は埋め立て費用、上下水道の工事費用、設備費などです。
- 減価償却費=建物の取得価額×0.9×償却率(マンションなら0.015)×経過年数で計算された金額です。建物の使用による価値の減少です。
- 譲渡費用は仲介手数料、立退料の支払、土地の測量費などです。
この譲渡所得に税金がかけられるんですね。
5年以上住んでいると様々な減税の恩恵が得られます。
正確には、売った年の1月1日現在で所有期間が5年を超えていて、その間、実際に住んでいたことが条件です。売る時点で住んでいなくてもいいですが、その場合は、住まなくなってから3年たった年末までに売った家である必要があります。
一度にこの記事には書けませんのでざっと、駆け足で説明しますね。
①長期譲渡所得の軽減税率が適用できる
保有期間が5年以下だと、短期譲渡所得といって、税率は39%(所得税30%、住民税9%)が上記の譲渡所得に掛けられます。
これに対して保有期間が5年超だと長期譲渡所得となり、税率は20%(所得税15%、住民税5%)で済みます。
しかしまあ、マイホームの所有期間の長短にかかわらず、譲渡所得から最高3,000万円を差し引くことが出来るので、あんまりこれが影響する人はいないでしょうね。
②譲渡損が出た場合に損益通算できるケースがある
本来、不動産の譲渡による所得は『分離課税』といって、損が出たとしても、その赤字は給与所得などのほかの所得の黒字と通算できないことになっています。
しかし、5年超保有していたら、その損失を他の所得と通算することが認められているので、通算の結果、給与から源泉徴収された税金が返ってくることもあります。
マイホームの買換えをして、新しく買った家に住宅ローンを組んだ場合
同じ年のうちに新しく買った家で住宅ローンを組んだ場合、他の諸要件を満たせば、『居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失』の特例を受けることが出来ます。
譲渡損失を他の所得と通算しますので、その年の税金が安くなりますね。その年で通算しきれず、損が残ってしまった場合は翌年以後3年間繰り越して控除することが出来ます。
また、住宅ローン控除とも併用が出来ます。
マイホームの売却代金以上の住宅ローンが残っている場合
上記は同じ年に新しく家を買っていることが必要ですけど、こちらはその必要はないです。
同じく、損が残ってしまった場合は翌年以後3年間繰り越して控除することが出来ます。
また、住宅ローン控除とも併用が出来ます。
3.10年で終わる住宅ローン控除による実質マイナス金利
住宅ローン控除によって実質的にマイナス金利になっている人が多いと思います。当初10年固定の住宅ローンを組んでいる人なら、10年間は低金利で固定されていますからほぼゼロ金利で住宅ローンを利用できています。
住宅ローン控除の条件や効果については、長くなりますが過去記事に分かりやすく書いていますので、よろしければ読んでみてください。
11年目からは住宅ローン控除はなくなります。
今の超低金利に加え住宅ローン控除が10年間1%で受けられます。既にほとんどの銀行で住宅ローンの金利は1%を下回っていますね。
つまり以下の方法で、ほぼゼロ金利で新しい住宅を購入することも可能です。
- 売却代金は頭金にせずあえて温存しておく
- 住宅ローン控除によって、住宅ローン残高のマイナス金利の恩恵を得る。つまり利息を受け取る。
- 住宅ローン控除が終了したら頭金で一気にローン残高を減らし、利息の負担を軽くする。
詳しくは過去記事にありますので、よろしければ読んでみてください。
4.購入者にとっても重要な住宅ローン控除の条件 マンションは築25年以内
先ほどの話の住宅ローン控除ですが、当然、購入者にとっても重要なポイントです。中古住宅でも住宅ローン控除を受けられますが、あまりに古い住宅ではだめなんですね。
中古住宅のスペック面を確保する要件に以下のものがあります。
(1)次のいずれかに該当すること
- イ)家屋が建築された日から取得の日までの期間が20年(耐火建築物については25年)以内であること。
- ロ)地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるもの(耐震基準)に適合する建物であること。
- ハ)イ又はロの要件に当てはまらない家屋で、その家屋の取得の日までに耐震改修を行うことについての申請をし、かつ、居住の用に供した日までにその耐震改修により家屋が耐震基準に適合することにつき証明がされたものであること。
イ)の要件が一番判断しやすいですよね。マンションなら通常、耐火建築物ですから、築25年以内であれば、購入希望者は安心して購入できるでしょう。
ロ)とハ)については、もちろん可能ですし、さほどハードルも高くないのですが、大丈夫かどうか不安に思う人が多いでしょう。
- 木造の戸建てについては築20年
- マンションについては築25年
築年数としては、これが一つの分水嶺になるでしょう。
5.目の前に来ている2025年問題
2025年問題って知ってますか?
2025年問題とは、団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達する事により、介護・医療費等社会保障費の急増が懸念される問題です。
これが本格的に来ると、本格的な高齢化社会の幕開けです。住宅需要もかなりの減速となるでしょう。
団塊の世代とは、1947年~1949年の第一次ベビーブームに生まれた世代です。
この人達は千日の親の世代です。千日は1972年生まれ、いわゆる団塊ジュニアという世代なんです。
厚生労働省 今後の高齢者人口の見通しについて
2025年問題については、いろんな団体が情報を公開していますが、そのうち、厚生労働省が今後の高齢者人口の見通しについて公表しているレポートをご紹介します。
高齢者人口の推移
65歳以上の高齢者数は、2025年には3,657万人になり、2042年にはピークを迎える予測(3,878万人)。また、75歳以上の高齢者の全人口に占める割合は増加していき、2055年には25%を超える見込み。
認知症高齢者数の見通し
65歳以上高齢者のうち、『認知症高齢者の日常生活自立度』Ⅱ以上の高齢者が増加していく。
自立度Ⅱとは日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少みられても、だれかが注意していれば自立できる。とされている認知症のレベルです。
高齢者の世帯の見通し
世帯主が65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加していく。
各地域の高齢者数の見通し
75歳以上人口は、都市部では急速に増加し、もともと高齢者人口の多い地方でも緩やかに増加する。各地域の高齢化の状況は異なるため、各地域の特性に応じた対応が必要。
まとめ
いかがでしょうか。これを書いていて父を思い出しました。
父はたまに携帯の操作を間違えて電話をしてきます。そのたびに父にコールバックすると父は『ああ、ゴメンゴメン、間違えてかけてしもたんや』と大きな声で謝ってきました。
普段は耳が遠いので、通話はあまり使わないんです。
ガラケーで、メールです。
千日はいつも分かっていてコールバックします。
先日も一回だけベルが鳴って、すぐに止まりました。いままでは後から着信に気づくことが多かったんですが、本当にワンコールでした。
今回はいいかな…と思い、コールバックしていないんですよね。
明日、電話してみようと思います。
- 2016年4月6日に住宅ローンの借り換え増について更新しました
以上、千日のブログでした。
千日のブログでは、マイホーム売却はもちろんのこと、マイホーム購入に関する様々なお役立ち情報を公開しています。
情報は常に入手可能な最新のものに更新してます。よろしければ定期購読してみて下さい。
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チラシから見える本当の売り時
マイナス金利と住宅ローンの動向